セダムとは 〔セダムは耐乾性に優れた植物です〕
Sedumはベンケイソウ科に属するマンネングサ属の属名です。
ベンケイソウ科(Crassulaceae)の植物は、太平洋上の諸島と南極圏を除き、熱帯から寒帯まで広く分布しています。アフリカ南部、マダガスカル島、カナリア諸島、メキシコの乾燥地に特に多く、ヨーロッパやヒマラヤの高山にも比較的多く分布します。世界では35属約1500種を含む大きな科です。
ベンケイソウ科の殆どの植物種は、摘み取って地面に置くだけで、やがて根付き、生長を始めます。多年草が多く、多肉で大きな液胞を有し、乾燥に強い、ベンケイソウ型有機酸代謝(CAM)を特長とします。
セダムは屋上環境に適した植物です
セダムは岩場や石垣の熱しやすく冷めやすい厳しい環境に適応するために、独自の生理的メカニズムを発達させて来ました。このセダムの生育環境と屋上環境の類似性が、屋上緑化への適応に有意に働いています。
「屋上の環境」と「セダムの生育地環境」の類似性
ベンケイソウ型有機酸代謝(Crassulacean Acid Metabolisum)を行う植物をCAM植物と呼んでいます。ベンケイソウ科に限らず、ザクロソウ科やラン科等のなかにもCAM植物は見られます。
これは、周期的な乾燥を受ける環境や、生育基盤(土壌)が貧弱な生育地に適応して、植物が生き残るための戦略なのです。
詳しくはこちらから → ベンケイソウ科植物の生理
屋上緑化で見られる主なSedam属の植物
屋上緑化では在来の種の他にヨーロッパ産など様々な種が活躍してます。
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日本で見られる主なSedam属の植物
Sedum属は根茎の有無でキリンソウ亜属(有)、マンネングサ亜属(無)に分類されます。
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Sedum属のほか日本で見られる主なベンケイソウ科の属
ベンケイソウ科の基本属は、アフリカ南部の乾燥地に多く生育するクラッスラ属(Crassula)です。
此処で紹介したのはベンケイソウ科の植物の一部ですが、日本ではこの他にも多くの種が生育しています。日本におけるベンケイソウ科の植物には、特殊環境に生育する種が多く、地域固有種も多いため普段目にすることが少ない種も多くあります。環境省のレッドデータに該当する種も多く含まれます。
詳しくはこちらから → ベンケイソウ科分類
参考文献
朝日百科 世界の植物(朝日新聞社:1979年)
日本の野生植物 草本 編-佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・亘理俊次・富成忠夫(平凡社:1985年)
多肉植物 飯島健太郎・近藤三雄(ソフトサイエンス社:1997年)
植物生態生理学 Walter Larcher著 佐伯敏郎監訳(シュプリンガー・フェアクラーク東京株式会社:1999年)