よくある質問

よくある質問の回答

Q1. セダム(Sedum)とはどんなで植物でしょうか?
A1,
植物学的には「ベンケイソウ科セダム属」に属し、その多くは山岳地や海岸地の岩上などのわずかな土壌に根を張り生育しています。
サボテンと同じ多肉植物であり日本にも20種以上が自生しています。
暑さ、寒さ、乾燥に強い特性を持つため、薄い土壌厚でも生育に必要な最低限の潅水とメンテナンスがあれば緑化の維持が可能です。
【屋上緑化でよく使われる代表的なセダム類】
メキシコマンネングサ
メキシコマンネングサ
コーラルカーペット
コーラルカーペット
サカサマンネングサ
サカサマンネングサ
Q2. 屋上緑化で使われる耐乾性に強い植物には、セダム以外にどんな品種がありますか?
マツバギク
A2,
屋上緑化では耐乾性に優れた品種として、セダム以外ではマツバギクがよく用いられます。マツバギクはツルナ科に属し、その中でも寒さに強いデロスペルマ属のマツバギクレイコー(松葉菊麗晃)が屋上緑化に適しています。春から晩秋まで赤紫の花を楽しませてくれます。
Q3. セダム緑化には、施工時期に制限はないのでしょうか?
A3,
セダムの生育・活着という点において「好ましい時期」と「できれば避けたい時期」があります。これはセダムに限った事ではなく一般の埴栽にも同様の事が言えます。「好ましい時期」はセダムの生長期である春と秋で、この時期に植付けるとセダムの生長が速く、表面の被覆率も短期間に上昇します。一方「できれば避けたい時期」は夏と冬で、特に酷暑期と厳寒期はむしろ避けなければなりません。この時期にはセダムが休眠状態に入っているため活着力や生育力がどうしても弱くなってしまいます。セダムの苗を屋上で植え付ける場合はこの点に注意してください。圃場で予めセダムを植え付けたユニット(トレー)を屋上に並べる場合は季節による制限はありません。
Q4. セダムが衰退する原因には、どんなものがありますか?
A4,
セダムの衰退原因と対策には次のものがあります。
  1. 過湿
    1. ・徒長による蒸れ・・・過剰な施肥や潅水をしないこと。トリミング(刈り込み)を実施してください。
    2. ・夏の多湿・・・夏場の日中は潅水を控え、涼しい朝夕に灌水をしてください。
  2. 日照不足による衰退事例
    排気口からの熱風による衰退事例
    風による影響
    1. ・排気口などからの吹き出す熱風が当たる場合は、風が当たる部分の植栽を控えるか風除けを設置してください。また、常温の風が当たる場合でも土壌が過乾燥となることがあるので、熱風と同様の処置をしてください。
    2. ・強風が予想される場所(高層ビルの屋上や海岸近くなど)を緑化する際は、植栽上に防風ネットを設置してください。
  3. 肥料不足
    1. ・土壌中の肥料分が減少すると、草勢が衰えやがて枯死に至ります。緩効性(遅効性)の肥料を1年に1〜2回程度与えてください。
  4. 長期に渡る高温・乾燥
    1. ・10日〜2週間程度降雨がない場合は潅水を実施してください。
  5. 日照不足による衰退事例
    日照不足による衰退事例
    日照不足
    1. ・庇の下など日光が直接当たらない箇所へのセダム植栽は避けてください。
Q5. セダムにはどんな性質の土壌が適しているのでしょうか?
A5,
一般的に薄層屋上緑化でセダムを植える土壌に求められる性質は次の通りです。
  1. 余剰水を速やかに排出する透水性に優れた“水はけの良い土壌”で、しかも一定の水分量を保つ保水性にも優れた土壌。
  2. 雑草の種子の混入がない土壌。
  3. 適量の肥料分が含まれた土壌。
薄層屋上緑化技術協会に加盟している会社は、これらの条件を満たした土壌を提供しています。セダム緑化用の土壌として、黒土に適切な土壌改良を施して用いることが可能ですが、改良が不適切な場合は水はけが悪くなりセダムを枯らすことがあります。畑土などを使用すると多種類の植物の種子が混入している事が多く、雑草が多く発生します。
また、あまり肥沃な土壌も好ましくなく、セダムの軟弱化(柔らかく、病気になりやすい)を招くだけでなく、雑草が繁茂してセダムの生育を著しく損なうことがあります。
植栽初期の活着時や生長時には肥料を必要としますが、与えすぎると不具合が発生するため、肥料分を徐々に放出する遅効性 (緩効性)の肥料を土壌に添加します。また、根に酸素を供給するための通気性も求められていいます。
Q6. セダムの生育に必要な最低限のメンテナンスとは?
A6,
次に示す年間3回程度のメンテナンスを実施してください。
  1. 除草:年3回程度(春・夏・秋)
    雑草を放置したままにするとセダムが被圧され生育に支障がでます。
    雑草が種子を落とす前に除去することが効果的です。
  2. 施肥:年1〜2回程度(春・秋)
    遅効性肥料などの散布、施肥後の潅水を推奨します。
    施肥量は肥料の種類にもよりますが15〜30g/㎡程度が良いでしょう。
  3. 病害虫防除:必要に応じて実施(夏・秋は要注意)
    【病害例】
    白絹病、うどん粉病,疫病、黒腐病、立ち枯れ病等・・・薬剤を散布してください。
    【虫害例】
    ヨウトウムシ、アブラムシ、ドゥガネブイブイ、ナメクジ等・・・捕殺または薬剤を散布してください。
Q7. セダムの生育に必要な最低限の灌水とはどの程度でしょうか?
A7,
セダムは乾燥に強い植物なので、通常は自然降雨以外の灌水は必ずしも必要としません。但し、10日〜2週間以上降雨がない場合は灌水が必要となるケースが多く見られます。定期的な灌水は適量であれば生育に有効ですが、過剰な灌水は過湿や蒸れによるセダムの衰退や枯死をもたらすので、灌水条件の設定に注意してください。灌水は夕方涼しくなってからの時間帯もしくは早朝に、全体に万遍なく行ってください。
Q8. 薄層型緑化と庭園型緑化にはどんな違いがあるのですか?
A8,
土壌が薄い薄層型では用いられる植物の品種がセダム類や芝などの地被類に限定されますが、土壌が厚い庭園型では多種類の植物を選択することが可能です。物理的な条件では重量が、維持管理では灌水量や管理費用が、意匠性では趣がそれぞれ異なります。
【緑化方式別の特徴】
緑化方式 植物種 重量 美 観 灌水
依存性
費 用
設 置 維持作業 灌水(水道)
薄層型 セダム 40〜60kg/㎡
80〜150kg/㎡
庭園型 樹木等 300kg以上/㎡
  • ※重量は植物の重さを含みます。
  • ※灌水依存性が高い場合、夏期に断水・停電・灌水装置の不具合が発生すると植物が短時間で枯死する可能性があります。
  • ※設置費用は緑化工事の費用で、灌水装置の設置費も含みます。
  • ※維持作業の費用は刈り込み、施肥、病虫害の防除、肥料代等を含みます。
  • ※灌水費用は上水道を利用した場合です。
Q9. 屋上緑化で植栽以外に注意する点は何がありますか?
A9,
植栽部周辺の定期点検は非常に重要です。特に排水ドレン周りは落葉、泥、土壌、ごみ等が堆積すると排水不良が発生するため定期的に清掃してください。また防水層が露出している場合は、表面に損傷がないか確認し異常が見られた場合は速やかに補修してください。
排水ドレン周り1 排水ドレン周り2