高エネルギー効率を支える生理的メカニズム

C4植物は、水分使用率が高く、半乾燥状態での生育も可能です。
維管束鞘細胞にも発達した葉緑体が存在し、窒素利用効率が高く、光呼吸による窒素の再放出は起こりません。CO2固定に余計なエネルギーを使用するため光呼吸の影響が少ない環境では不利ですが、通常の環境では効率良くCO2を固定します。
高温、乾燥、強光下、貧栄養土壌等の苛酷な環境に適応します。雑草の中で害の大きい種にも多く見られます。

C4経路・3つの分類

・NADP-ME型
葉肉細胞の細胞質基質で、取り込んだCO2を水和させHCO3-にし、それをPEPとPEPカルボキシラーゼ(PEPC)を用いてオキサロ酢酸にする。
トウモロコシ、サトウキビ、ソルガム、ススキ、イヌビエ、エノコログサ、メヒシバ、チガヤ等

・NAP-ME型
葉肉細胞の細胞質基質で、取り込んだCO2を水和させHCO3-にし、PEPCを用いてPEPをオキサロ酢酸にする。
キビ、シコクビエ、オヒシバ、カゼクサ等、アオゲイトウ、スベリヒユ等

・PEP-CK型
脱炭酸酵素としてホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼを使用する。
ノシバ、ネズミノオ、ギニアグラス、ローズグラス、ニクキビ等

C3・C4植物とは……

光合成のCO2初期産物の炭素原子数が、3か4かでC3植物、C4植物と呼ばれています。植物の約90%がC3植物です。
C4植物のCO2還元回路はカルビン-ベンソン回路の他に、CO2濃縮の為のCO2回路(ハッチ-スラック回路)を持ちます。C3植物はカルビン-ベンソン回路のみです。
C4植物はイネ科等に多く、葉肉細胞に葉緑体が密集し、最大光合成速度が速いのが特長です。CAM植物も代謝の一部としてこのようなCO2の初期固定を行いますが、固定は夜間に行われます。