乾燥に適応する生理的メカニズム

ベンケイソウ科の植物は、乾燥ストレスの強度に伴ってC3からCAMに炭酸同化経路を変化させるのを特長とします。
土壌が湿潤な状態ではC3経路を利用していますが、乾燥が進むにつれCAMへと変化します。
更に乾燥が進むと、自分自身の呼吸によって作られたCO2を利用するようになります。

C3植物と同じ光合成を行う
CAMを利用 CAM型光合成
CAM植物とは……

ベンケイソウ型有機酸代謝(CrassulaceanAcid Metabolisum)

多肉であることにより、大きな貯蔵スペース(液胞)を持ち、CO2固定と有機酸の合成を一日のうち異なる時間帯に行います。厳しい乾燥の時期に気孔が昼も夜も閉じたままのときには、自分自身の呼吸で作られCO2を再び捕捉します。CO2取込み量、期間、長さは、種、水供給、温度、日長、発生ステージなど、環境条件により異なります。

気孔が開いているとき、CO2を取込み液胞に固定、閉じているとき再固定を行うため、水の損失の最小限に止めCO2を吸収することができます。

中でも、ベンケイソウ科とザクロソウ科の植物は乾燥や塩ストレスに曝された時だけCAMが利用されます。

C3・C4植物とは……

光合成のCO2初期産物の炭素原子数が、3か4かでC3植物、C4植物と呼ばれています。植物の約90%がC3植物です。
C4植物はイネ科等に多く、葉肉細胞に葉緑体が密集し、最大光合成速度が速いのが特長です。CAM植物も代謝の一部としてこのようなCO2の初期固定を行いますが、固定は夜間に行われます。